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大阪地方裁判所 昭和62年(わ)1232号 判決 1988年1月28日

本籍

大阪府八尾市弓削町一丁目九九番地

住居

大阪府南河内郡太子町大字春日九八番地の三三〇

信用金庫職員

谷博文

昭和一七年一〇月九日生

右の者に対する相続税法違反被告事件につき、当裁判所は検察官長谷川充弘出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役七月に処する。

この裁判が確定した日から二年間右刑の執行を猶予する

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、八光信用金庫本店営業部長であったものであるが、

第一  大阪府八尾市本町一丁目四番一号に居住し、実父谷村安三の死亡(昭和五九年五月一三日)により同人の財産を共同相続し、他の共同相続人谷村キヨヱ及び谷村弘一らとの遺産分割の協議によりその遺産の一部を相続した分離前の相被告人(以下、単に相被告人という。)谷村安脩、全日本同和会大阪府連合会岸和田貝塚支部長であった相被告人濱吉里志、山本瓦工業株式会社を経営するとともに不動産業を営む相被告人山本實、ヨシミ産業株式会社を経営するとともに不動産業を営む相被告人村木良己、行政書士である相被告人山本徳行と共謀のうえ、被相続人の右谷村安三にかかる架空債務を計上して、相続税の課税価格を減少させる方法により、相被告人谷村安脩の相続税を免れようと企て、同被告人の正規の相続税の課税価格が一億八七四六万二一二五円で、これに対する相続税額が七一六四万二六〇〇円であるにもかかわらず、右谷村安三には、泉谷武雄に対し、四億三〇〇〇万円の債務があり、かつ、その債務のうち、相被告人谷村安脩において一億八〇〇〇万円を、右谷村キヨヱにおいて一億七五〇〇万円を、右谷村弘一において七五〇〇万円をそれぞれ負担すべきこととなったごとく仮装するなどしたうえ、昭和五九年一一月六日、大阪府八尾市本町二丁目二番三号所在の所轄八尾税務署において、同税税務署長に対し、相被告人谷村安脩の相続税の課税価格が七四六万二一二五円で、これに対する相続税額が一一二万〇九〇〇円である旨の内容虚偽の相続税申告書を提出し、もって不正の行為により、同被告人の相続税七〇五二万一七〇〇円を免れた

第二  大阪府八尾市志紀町南二丁目六番地に居住し、実父田中松の死亡(昭和五九年一〇月九日)により同人の財産を共同相続し、他の共同相続人田中千代子らとの遺産分割の協議によりその遺産の一部を相続した相被告人田中健一、全日本同和会大阪府連合会岸和田支部長である相被告人野口忠夫らと共謀のうえ、前同様の方法により、相被告人田中健一の相続税を免れようと企て、同被告人の正規の相続税の課税価格が三億八二八一万四〇六一円で、これに対する相続税額が一億六二六二万八七〇〇円であるにもかかわらず、右田中松には、嶋本利男に対し、六億三一六〇万円の債務があり、かつ、その債務のうち、相被告人田中健一において三億円を、右田中千代子において三億三一六〇万円をそれぞれ負担すべきこととなったごとく仮装するなどしたうえ、昭和六〇年四月六日、前記八尾税務署において、同税務署長に対し、右相被告人田中健一の相続税の課税価格が九二九四万七九六一円で、これに対する相続税額が一七五八万四一〇〇円である旨の内容虚偽の相続税申告書を提出し、もって不正の行為により、同人の相続税一億四五〇四万四六〇〇円を免れた

ものである。

(証拠の標目)

判示全事実につき

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する供述調書四通

一  相被告人野口忠夫の検察官(昭和六二年三月一四日付、同月二一日付、同月二八日付)に対する供述調書

一  相被告人濱吉里志の検察官(昭和六二年二月二六日付、同年三月四日付、同月二七日付・二通、同月三〇日付)に対する供述調書

一  相被告人山本實の検察官(昭和六二年二月二三日付、同月二六日付、同年三月二三日付(丁数6)、同月二五日付)に対する供述調書

一  相被告人村木良の検察官(昭和六二年二月二七日付・二通、同年三月四日付、同月二七日付)に対する供述調書

一  相被告人山本徳行の検察官(昭和六二年二月二四日付、同年三月二六日付)に対する供述調書

一  立中善巳(昭和六二年二月二〇日付)、團博史の各検察官に対する供述調書

一  大蔵事務官篠原滋、同中谷孝良、同野田誠治各作成の査察官調査書

判示第一の事実につき

一  相被告人濱吉里志の検察官(昭和六二年三月九日付)に対する供述調書

一  相被告人山本實の検察官(昭和六二年三月五日付、同月九日付)に対する供述調書

一  相被告人村木良の検察官(昭和六二年三月六日付、同月九日付)に対する供述調書

一  相被告人山本徳行の検察官(昭和六二年三月六日付)に対する供述調書

一  相被告人谷村安脩の検察官に対する供述調書二通

一  今野仁睦の検察官に対する供述調書

一  大蔵事務官西村政則作成の脱税額計算書

一  大蔵事務官長岡洋(二通)、同臼井治各作成の査察官調査書

一  八尾税務署長作成の昭和六二年三月二三日付証明書二通

一  八尾市長作成の昭和六二年六月三〇日付戸籍謄本

判示第二の事実につき

一  相被告人田中健一の検察官に対する供述調書四通(昭和六二年二月一八日付のものを除く。)

一  相被告人濱吉里志の検察官(昭和六二年三月五日付)に対する供述調書

一  相被告人山本實の検察官(昭和六二年三月一日付、同月八日付)に対する供述調書

一  相被告人山本徳行の検察官(昭和六二年三月二日付、同月三日付)に対する供述調書

一  相被告人野口忠夫の検察官(昭和六二年三月二三日付)に対する供述調書

一  田中千代子(二通)、田中仁子、岩垣利忠の各検察官に対する供述調書

一  大蔵事務官藤永昌博作成の脱税額計算書及び査察官調査書四通

一  大蔵事務官赤井良二、同内野恭介各作成の査察官調査書

一  八尾税務署長作成の昭和六二年三月三〇日付証明書

一  八尾市長作成の昭和六二年三月二六日付戸籍謄本

(法令の適用)

被告人の判示各所為は、いずれも刑法六〇条、相続税法六八条一項に該当するので、所定刑中いずれも懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪なので、同法四七条本文、一〇条により犯情の重い判示第二の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で被告人を懲役七月に処し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判が確定した日から二年間右刑の執行を猶予することとする。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 上原茂行)

修正貸借対照表

(谷村安三-相続財産合計分)

<省略>

昭和59年5月13日 相続(谷村安脩分)

<省略>

税額計算書

(相続税法違反 谷村安脩)

<省略>

修正貸借対照表

(田中芳松-相続財産合計分)

<省略>

昭和59年10月9日 相続(田中健一 分)

<省略>

税額計算書

(相続税法違反 田中健一)

<省略>

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